フレーバー官能評価/生理応答計測

クワッシャ抽出物からの

Quassin、Neoquassin単離・同定および官能評価

ニガキ科の植物であるクワッシャの抽出物は、天然苦味料もしくは天然香料の表示で流通しており、quassin、neoquassinを主成分としています。これらの化合物が強い苦味を有することは知られていますが、それぞれの苦味特性の違いは報告例がなかったため、本研究で明らかにしました。

 HPLCを用いて市販のクワッシャ抽出物よりquassin、 neoquassinを単離し、NMR解析および合成的手法を用いてそれぞれを同定しました。そして、単離した両化合物について、Descriptive Analysis法およびTime Intensity法による官能評価を行いました。両化合物ともグレープフルーツを想起させる苦味を持ちますが、quassinがアルベド様、neoquassinが果肉様の苦味を持ち、quassinの方が苦味の最大強度が強く、苦味の持続時間も有意に長いことがわかりました。

 また、単離した両化合物を標品として市販されている各種クワッシャ抽出物中の含量を定量した結果、その含量、比が大きく異なり、それに応じて苦味の質が異なることが判明しました。

 飲食品等への苦味付与のためにクワッシャ抽出物を使用する場合、quassinとneoquassinの含量の比に注目してクワッシャ抽出物製品を適宜選択することで、目的に応じた微妙かつ繊細な苦味特性の付与が可能になると思われます。

この研究成果は2018年10月13日~15日に開催された第62回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(TEAC2018)(会場:長崎大学文教キャンパス/長崎県)で口頭発表を行いました。