トップメッセージ

長谷川香料グループが考えるサステナビリティ

事業環境認識

新型コロナウイルス感染症の影響は長期化 しており、世界各国で人命、社会経済活動に甚 大な影響を及ぼしています。変異株の発生など により医療提供体制が逼迫する中で、感染防止 と経済活動の両立が引き続き大きな課題とな っています。

また、気候変動をはじめとする社会課題への対応も急務となっています。温暖化による異常気象は、天然原料の収量や品質の低下、災害による設備の損壊、サプライチェーンの断絶に伴う事業活動の中断や気温上昇等をもたらし、顧客ニーズや消費者動向に変化を与 えるだけでなく、長期的には水資源への影響も見込まれます。さらに、少子高齢化、人口減少等の人口構 造の変化は、労働力不足や消費市場の縮小など、多岐にわたり影響を及ぼします。

当社グループはこれらの対応すべき社会課題を認識し、潜在するニーズや機会を見出して事業成長へ とつなげています。例えば、コロナ禍を機とした新しい生活様式は、生活者や顧客の新たなニーズをもた らしています。また、国際社会がカーボンニュートラルへと向かう中で、食品原料及び天然原料の代替素 材への需要は増加しています。少子高齢化を背景とした健康志向の高まりのほか、世界的な人口増加、新 興国における生活水準の向上も香料市場の拡大につながっています。

当社グループの事業は、食品や日用品など人々の生活に密着しています。香りの技術を通じて社会に貢 献していくことで事業成長を実現していきます。

基本戦略とカスタマーサクセス

現在、当社グループは、「コアビジネス(調合香料)の拡大に注力」「国内市場における収益の確保」「海 外市場における成長」の 3 つの基本戦略のもと、事業を展開しています。これらの戦略を確実に成果に つなげるべく、2017 年から変化を恐れず挑戦する組織づくりに向けた経営改革を進めてきました。改革 の成果は着実に表れており、2020 年度に引き続き 2021 年度も、最高益を更新しています。

また、この改革では「カスタマーファースト」から「カスタマーサクセス」へのシフトを重視してきま した。当社グループは「カスタマーサクセス」を、顧客の企業価値向上に貢献することだと考えています。 顧客からの依頼をただ待っているのではなく、顧客の抱える課題や生活者の潜在的欲求を自ら調査・分析 し、香りの技術を活かしたソリューションを提供することで、顧客の事業の成功に貢献するとともに、顧客にとって最も価値ある存在になることを目指します。その実現に向けて、提案力を強化し、多様化・高 度化する顧客の要望に迅速に対応するために、研究、営業、マーケティングを統括するビジネスソリュー ション本部を 2020 年 10 月に立ち上げました。新部署の設立から 1 年以上経過し、顧客からも好評をい ただいており、「カスタマーサクセス」が着実に形になっていると感じます。

成長ドライバーと位置付けている海外市場では、成長スピードを上げるために投資を拡大しています。 2021 年度には、米国にて買収した食品香料会社 MISSION 社の PMI(Post Merger Integration:買収後 統合)が完了しました。現在、海外売上高比率は 4 割を超え、今後も伸長する見込みです。

サステナブルな社会の構築に向けて

自社の収益拡大を追求するだけでは、持続的な成長は望めません。国連で採択された持続可能な開発目 標(SDGs)やパリ協定の発効を背景に、社会課題の解決に向けた動きが世界で加速しています。香料メ ーカーとしてステークホルダーの要請に応えるとともに、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを一 層推進していくために、2020 年 8 月、当社は国連グローバル・コンパクトに署名しました。また、2021 年には事業戦略と一体となったサステナビリティの取り組みを組織的に推進することを目的として、サ ステナビリティ委員会を設置しました。2022 年には気候変動対応のさらなる推進に向けて、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同 しました。

当社グループが注力している、枯渇する食品原料を代替する香料の開発や健康志向への対応等は、食料 不足をはじめとする現代社会が抱える課題解決に寄与するものです。こうした香りの可能性を引き出し、 「カスタマーサクセス」につなげてきたのは、1903 年の創業以来当社グループを支えてきた「人財」で す。あらゆる部門の従業員がそれぞれの立場で、品質管理と安全性の確保を第一に、安全・安心な製品の 提供に努め、「専門家としての揺るぎない視点」「ニーズに対応していく熱意」そして「仕事を成し遂げる 力」を発揮することで、当社グループは発展してきました。社是である『技術立社』とは、各部門が常に 連携し、刺激し合いながら、香料を通じて世界へ貢献するという私たちの姿勢を表明したものです。

当社グループは、世界が抱える課題を香りの技術を使って解決し、人々が豊かで健やかな暮らしができ るサステナブルな社会の構築に貢献してまいります。

長谷川香料株式会社
代表取締役社長

海野 隆雄