香りの介入が
レム睡眠時間や
ノンレム睡眠時間を
変化させる
香りの介入が
レム睡眠時間や
ノンレム睡眠時間を
変化させる
睡眠不足や不眠は、心身の健康や認知機能にも悪影響を及ぼすことが報告されています。私たちの生活の質を向上・維持していくためには十分な量の睡眠時間と良質な睡眠を確保する必要があり、その一助として香りを活用できないか、実際の睡眠を伴う検証実験を重ねてきました。
ヒトの睡眠中には、「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の2つの睡眠状態が繰り返されます。ノンレム睡眠とレム睡眠の役割はそれぞれ異なり、良質な睡眠を維持するためには、どちらの睡眠状態も重要とされています。本研究の目的は、これらの睡眠状態が、香りの介入によってどのように変わるのかを明らかにすることでした。
実験協力者は、株式会社ナインアワーズのカプセルホテルを利用する宿泊者とし、チェックイン時に実験参加の同意とチェックアウト後のアンケート調査に協力いただいたデータを対象としました。そのうち、年齢は20代~50代で、睡眠時間が6~9時間であった185件を解析対象としました。香りのない条件をコントロールとして、ラベンダー、ゼラニウム、レモングラスの各精油を用いた3つの香り条件で得られた宿泊データをそれぞれ比較しました。総睡眠時間(眠っている時間)や睡眠潜時(寝付くまでの時間)は、香りのない条件と全ての香り条件で差はありませんでした。その一方で、総睡眠時間に対するノンレム睡眠時間の割合は、香りのない条件と比べてゼラニウム条件、レモングラス条件で高く、総睡眠時間に対するレム睡眠時間の割合は香りのない条件と比べてゼラニウム条件のみで低くなりました。香りのない条件と比べてラベンダー条件では、それらの指標に差はなかったことから、睡眠時における香り介入の有無だけでなく、香りの種類違いによっても、レム睡眠時間やノンレム睡眠時間に与える影響が異なる可能性が示されました。
今後も香りと睡眠の知見を積み重ね、得られた知見をフレーバー・フレグランス開発に応用していきます。大規模なヒト睡眠データに基づく、弊社が取り組む創香技術を通じて、睡眠に悩む多くの生活者のWell-being向上に貢献していきます。
株式会社ナインアワーズHP:https://ninehours.co.jp/
注)睡眠指標の数値は株式会社ナインアワーズより提供された参考値であり医療機器による数値ではありません
【学会発表】
この研究成果は2025年6月28日~6月29日に開催された日本睡眠学会第49回定期学術集会
(会場:広島大学霞キャンパス/広島県)でポスター発表を行いました。