第73回 コロイドおよび界面化学討論会にて
「小角X線散乱(SAXS)を用いた多価アルコール法リポソームの構造評価」
を発表いたしました。

2022/09/22

リポソームは、肌と同様の生体成分で構成されている細胞膜様のカプセルであり、開発・製造に高い技術が必要なことから、化粧品の中でも主に高価格帯の商品に使用されています。本研究では、多価アルコール法という手法を用いてリポソームを調製し、その構造的な特徴を明らかにすべく各種評価を行いました。
その結果、膜が単層という特徴を持つ、粒径100 nm以下の微細なリポソームが形成されることを透過型電子顕微鏡で確認しました。併せて、動的光散乱法による粒子径とも高い相関を示すことが確認されました。
従来より、リポソームの工業的な製造には高圧乳化機による処理が必要とされており、またその構造も多層状のリポソームが一般的とされてきました。多価アルコール法を用いることで、特殊な製造装置を用いずに単層リポソームを調製できる利点を活かし、各種濃度でのリポソーム水溶液について構造評価を行いました。本研究結果は、リポソームの新奇な特性の評価に繋げていくことができると考えられます。

この研究成果は2022年9月20日~22日に開催された第73回コロイドおよび界面化学討論会(会場:広島大学/広島県)で口頭発表を行いました。本研究は、日光ケミカルズ株式会社と共同で行いました。